女性の場合、育児や家事などの役割を担うことも多く、働きづらくなって退職したり、再就職しづらくなっているケースは多いです。
以前、勤めていた病院でも人材募集をかけていたときに、上司が「女性が来てくれたほうが、バランスが取れてありがたいんだけどなぁ」とぼやいていました。
理学療法士などの職業に関してですが、やはり仕事をする上では女性のほうが応募人数としては少ないようです。
では、女性療法士として働きやすい職場って、どういう職場なのでしょうか?
ここでは、女性の理学療法士が働きやすい、就職しやすい職場について解説しています。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の男女割合
理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の女性はどれくらいいるのか、男女の割合を見てみましょう。(参考:2016年4月:厚労省 第1回理学療法士・作業療法士需給文化会)
全国のPT・OT・STの人数
- 理学療法士13万人
- 作業療法士8万人
- 言語聴覚士2万7千人
毎年、理学療法士は約1万人、作業療法士は約5千人、言語聴覚士は2千人の合格者がいます。
全国のPT・OT・STの男女比
- 理学療法士(男6:女4)
- 作業療法士(男4:女6)
- 言語聴覚士(男2:女2)
理学療法士は昔は男性が多かったのですが、2000年以降は徐々に男女比はなくなってきています。作業療法士や言語聴覚士に至っては、女性のほうが多いです。
女性療法士の強み
前述したように、全国的に見ても、療法士の男女差はそれほどありません。
とは言え、どちらかと言えば男性が有利な場合が多いです。
例えば、重度介助の患者が入院していた場合は男性が担当することが多いはずです。また、セクハラや攻撃的患者にも男性が担当することが多いでしょう。
女性は、子供が熱を出したなどで仕事を休んだり、早退することが多いですが、男性はそれほど多くはありません。家庭の事情ですので、仕方がないことですが、仕事に影響を及ぼさないのはどちらかと言えば男性のほうと言えるでしょう。
これらが、男性有利な社会だと思う点です。
では、理学療法士として働く女性の強みは何でしょうか?
以下の内容は、あくまでも男性である僕から見た女性の強みです。
まず、男性と女性を比べた時に、女性理学療法士のほうが威圧的でない場合が多いです。もし女性患者と接する場合には、女性療法士のほうが恐怖心を与えずに済むケースもあります。
風呂やトイレなど、デリケートな場面でも女性患者に対しては、女性療法士が接するほうが良いでしょう。(男性患者に対しては、女性療法士が接しても過度に嫌がられることは少ないです。)
男性しかいない職場では、女性患者への対応で不利になりやすく、やはり女性療法士がいてくれるほうが良いでしょう。
僕は女性の多い職場を経験したことがありますが、女性の多い職場は助け合いの精神がよく見えます。
男性は縦関係を重視しすぎて、他の職員にきつくあたりがちですが、女性は横関係を重視するので女性がいることで柔らかい社風になります。
僕の経験上、女性のいる職場は働きやすいと感じるのは事実です。
女性も男性と同じように現場でバリバリ働いていますし、女性で管理職に就く人も増えてきています。
理学療法士として働くなら、男女それぞれの強みを活かして働くと良いでしょう。
女性が就職・転職するときに注意しておくこと
家庭の役割もある女性が、男性と同じように学会発表や研究をするとなると時間や労力が必要になります。男性と同じように仕事を求められても難しい現状があります。
理学療法士などのリハビリ職は有資格者であるため、出産を期に退職したとしても、また復帰しやすい業界でもあります。
女性が就職または転職する際に、注意して見ておきたいポイントについて解説します。
ライフスタイルに合った勤務形態かどうか
女性は男性に比べて、結婚、出産、育児、家事などのライフスタイルの変化が多く経験します。
あなたが働く(または働こうとしている職場)では、育休、産休が取れるか、急遽休みでもシステムが整っているか見ておきましょう。
以前、僕が勤めていた回復期の病院では、女性療法士が多く、急遽休みも良くありました。回復期では、毎日リハビリがあります。自ずと、フォロー体制が必要になってくるので、急遽休みにも柔軟に対応できる職場でした。
職員数の多い職場では、フォローしやすい環境であると言えます。
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また、「家庭のこともしながら、仕事もしたい」そう思う女性も多いでしょう。ですが、子供が小さいなどの理由でフルタイム勤務ができない女性もいるでしょう。
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患者層や仕事内容を見ておこう
女性は男性に比べて、腕力や体力的に不利になりやすいです。
女性療法士でも、重度介助の患者を担当することもあります。女性患者なら重度介助でも対応できる場合もありますが、男性患者ですと体格差がありすぎてきつい場合もあります。
下手すると患者を転倒させてしまったり、療法士自身が腰痛などで身体を壊してしまう恐れもあります。
体力的に不安なら、仕事内容や患者層は確認しておいたほうが良いでしょう。
僕は回復期の病院に勤めていましたが、重度介助の方をほぼ全介助レベルで歩行訓練させたりすることもありました。
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病院や介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどは、いろんな層の患者がいます。自立度の高い人から介助が必要な方まで入院・入所しています。
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デイケア、デイサービスは重度介助の利用者もいますが、在宅から通って来られる方ですので、車椅子を使っていたとしても自立度は高くそれほど介助を要さない場合が多いです。
クリニックなど外来リハビリもデイケア・デイサービス同様に、自立度の高い患者がほとんどを占めています。僕も整形外科クリニックに勤めていますが、重度介助の方を担当したことはなく、身体的にはかなり楽です。
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このように、働く環境によって患者層も仕事内容も大きく異なります。体力面が心配な方は、負担の少ない環境で働くと良いでしょう。
また、高齢化に伴い介助の患者がいない職場は恐らくありません。ですので、身体的に不利になりやすい女性をフォローするシステムのある職場に就くと良いです。
女性療法士が長年働いているかどうか
出産、育児、家事などの役割を抱える女性は、社会に出ると男性に比べると不利になりがちです。
産休後の復帰したけど、時短できない、残業も当たり前では働けなくなるのは当然といえます。
女性の強みを前述しましたが、女性療法士がいるから仕事が回っていることもあるのです。男性と同じように働くことを求める職場は、男性というだけで優遇しているようなものです。
女性が長く勤めている実績のある職場は、家庭の事情も考慮されているか、フォローアップ体制が整っていると判断できます。
また、職場によりますが、託児所が設けられているなどの福利厚生が充実している職場もあります。主婦にとっては嬉しいですよね。
離職率、退職理由なども把握しておこう
離職率の高さは、ほぼイコール働きにくさの指標にもなります。ですが、全く退職者のいない職場はありませんし、人員の入れ替わりのない職場は新陳代謝が悪いともみれます。
離職率が30%と極端に高いと「ブラックかも?」と思ったほうが良いでしょう。離職率10%前後なら一般的です。
ですが、退職した理由が大事なのです。
「他の分野もチャレンジしたいと思い退職した」という人と、「育児と両立できなくなったから退職した」という人とでは退職の質が異なります。
前者は個人的な退職理由ですので止めることはできませんが、後者は職場に原因があるとも考えられます。
就職または転職する際には、離職率だけでなく「過去の退職理由」も情報収集しておきましょう。この辺りは、転職エージェントに聞いてみると良いでしょう。
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家庭との両立が求められる女性としては、時短が可能な職場や短時間、短期間のパートや派遣なども検討し、あなたのライフスタイルに合わせた働き方を目指しましょう。働き方に悩む人は、以下の転職サイトをご活用ください。