先日、僕のところに理学療法士を目指す学生さんから「病院か施設か」迷っているとの質問がありました。
行きたい分野は老健や訪問リハビリみたいなのですが、周りに知識面で置いていかれるのではないかと心配しているようです。
行きたい分野があるなら初めから行った方が良いですよ。それか病院を知るために病院1年で辞めて老健に行くのもありですけどね。1年とかあっという間に過ぎますので。
たぶんそんなに拘りないんじゃないですか?それなら「人」ですよ! #peing #質問箱 https://t.co/RmdFOeUEun— かずぼー@理学療法士・ブログ (@kazubo_rigaku) 2018年12月1日
学生で、これから就職先を決めようとしたときに「最初は、病院?それとも訪問リハビリ?」など、働く分野で悩むのはあるあるなんですよね。
ということで、この記事では理学療法士を目指す学生に「どのようにして就職先を決めれば良いのか」を解説しています。
自分の望む働き方を目指したい人は、是非読んでみてください。
新人理学療法士の最初の就職先は「病院?」「施設?」「訪問リハビリ?」どこが良いの?
結論から言えば、今あなたが働きたいと思う職場(分野)に就職するのが一番良いです。
病院に勤めたかったら病院に就職すれば良いし、訪問リハビリで働きたかったら訪問リハビリに行けば良い。それだけです。
病院の方が患者情報が多いことや医師、看護師など他職種が多くいることから、総合的に患者を診る目は養えると思います。
そのため、まずは1~3年は病院で経験を積んでから、訪問リハビリに就職しようと考えるものありです。
また、最初から訪問リハビリを始めるのもありです。
理学療法プロセスは、どの分野に行っても同じ工程を踏みますので、その後、たとえ病院に就職したとしてもついていけないことはありません。
みんな最初の就職先を大事にしすぎですが、途中で「なんか違う」と思えば、1年くらいで転職しても良いわけです。
1年で辞めたら「履歴書の傷がつく」と思うかもしれませんが、僕は転職4回していますし、最短では2ヶ月で辞めたこともあります。
転職回数が多いことや勤続期間が短いことは、転職の際に不利になったことはありませんね。
職域でそれぞれの特徴をみてみよう!
ここからは、それぞれの職域の特徴を解説します。
理学療法士が主に就職する場所は、
- 病院(急性期、回復期、慢性期)
- 介護老人保健施・特別養護老人ホーム
- 訪問リハビリ
- 外来リハビリ
- デイケア
などです。
それぞれの特徴を簡単に解説します。
病院
回復期の場合は、担当患者数は3~5人くらい。
患者1人あたりのリハビリ時間は40~60分(2~3単位)です。
急性期や慢性期は、リハビリ時間が20分(1単位)になることも多く、患者数は10人以上になります。
病院では、医学的所見や家族情報など多くの情報があることや、医師・看護師・ソーシャルワーカーなど他職種も在籍していることから、総合的に患者情報をまとめる力が養われます。
また、急性期や回復期では患者が回復過程にあるため、予後予測がとても重要になります。経験を積むことで、ある程度「この患者はここまで能力のアップが見込める」など予後予測ができるようになってきます。
回復期リハビリテーション病院の詳細▼
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介護老人保健施設・特別養護老人ホーム
介護老人保健施設は、中間施設と呼ばれていることから、病院から在宅へ戻ることを目的にリハビリをしています。ただ、現実的には長期入所になるケースが多いです。
介護老人保健施設や特別養護老人ホームは、病院とは違い機能回復よりも機能維持を目的にリハビリをすることが多い場所です。
そのため、今ある能力で福祉用語や自宅環境面を調整し、「どうすれば自宅に帰られるのか」「どうすれば患者が生活しやすくなるのか」などの視点を持つことができるようになります。
介護老人保健施設の詳細▼
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訪問リハビリ
訪問リハビリは、理学療法士が直接利用者のお家にお邪魔しリハビリを提供しています。
自宅で寝たきりのためリハビリを必要としている方や、一人暮らしてで「もっと暮らしやすくするには、どうすれば良いか」などの悩みを持った利用者と関わることが多いです。
機能的な回復よりも、自宅生活内で「この環境を変えてみると楽なのでは?」「ここに手すりがあれば良いな」など患者の能力だけでなく、環境に目を向ける視点を養うことができます。
訪問リハビリの詳細▼
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訪問リハビリの魅力とは?病院から訪問リハビリへ転職した理学療法士が思うこと
僕は、8年間回復期リハビリテーション病院に勤務し、その後に訪問リハビリに従事した経験があります。 病院で働く療法士は、退院後の生活を見据えながら患者さんのリハビリをしていますが、退院していく患者さんを ...
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外来リハビリ
外来リハビリでは、が「腰が痛い」「膝が痛い」など9割以上は「どこかの痛み」で来院されます。
リハビリ時間は多くは20分(1単位)です。
そのため、痛みの原因を探る評価スキルと考察力、また時間内に終わらすタイムマネジメント力が必要とされます。
整形外科クリニックの詳細▼
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【転職体験談】理学療法士が「整形外科クリニック」で働く10のメリット
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デイケア
デイケアは、送迎により施設に来られた利用者のリハビリを行います。
介護度の軽い方から重度介助を要する方まで様々ですが、機能的には維持を目的にリハビリをすることが多いです。
医療情報や家屋情報は限られていますので、あるだけの情報で利用者を評価するスキルが求めれます。
理学療法士として働きあなたは何を優先しますか?
僕は理学療法士9年目になるまでに、転職を3回4つの職場を経験してきました。
回復期リハビリテーション病院や訪問リハビリを経て、整形外科クリニックに勤務しています。
就職するときに、どの分野で働こうかなと考えることも大切なのですが、働くことはボランティアではありませんので「何を優先するのか」も考えておいたほうが良いです。
どの分野で働くか以外に気にすることは、以下の5つです。
- 給料
- 休日日数・休みやすさ
- 忙しさ
- 人間関係
給料
給料の高い職場で働きたいなら、訪問リハビリのインセンティブ(歩合制)を導入している職場に就くことです。経験年収を積めば早い段階で、年収500万円以上は狙えるはずです。
病院や施設、外来リハビリなどは給料は若干低い傾向にありますが、給料は分野によるというよりも職場によるといった印象です。
僕が勤めた最初の病院では、年収450万円と新卒にしてはかなり良いほうだったので、探せば給料の高い職場は見つかるはずです。
とある職場では、手取りで14~16万円なんてこともあるらしいですね。
今の新人セラピストは初任給が手取り14~16万円が多いと聞く。
知ってる中で一番少ないのは13万6千円。。。
どうやって生活しろっていうんだ(^-^;
いくら勉強できる職場でも、ちょっと考えたほうがいいだろ。
— PT/OT/ST お金の講師 ぴっきー (@pQo7CiL0h75jPhK) 2018年12月15日
理学療法士や「勉強できる」「やりがい」で就職先を決めがちですが、給料面はしっかりと見ておかないと、手取り14万円では生活するのもきついです。
休日日数・休みやすさ
一番自由に休みがとれるのは、回復期リハビリテーション病院ですね。
僕も勤めていましたが、有給も合わせて6連休や7連休を取って海外旅行に行ったこともあります。
というのも、回復期リハビリテーション病院は毎日リハビリをするので、患者担当の理学療法士が休みの際は代行制を設けているのです。
なので、事前に「ここから連休になるから、この週だけこの患者さんの担当をよろしくお願いします」と頼むことができるのです。
他の訪問リハビリや外来リハビリなども祝日休みや夏季休暇、年末年始休みなどがありますが、世間一般の人も休みに入るので、どこも混みますからね。
休みやすさで言えば、回復期リハビリテーション病院でしょう。
忙しさ
まず人が多いと忙しくなります。
体制を整えるために、係や委員会などがあります。
患者診療に集中したいのであれば、人数の少ない職場に勤めることをお勧めします。
訪問リハビリでは、月末の計画書や報告書作成に追われるので、月末は忙しくなりがちです。
患者診療以外の仕事があると、忙しくて帰りが遅くなることも多いです。
ちなみに、僕が勤める整形外科クリニックは、スタッフの数も少なく、係・委員会、月末処理も一切ないので、患者診療に集中できるのがメリットです。
人間関係
病院や訪問リハビリなど、他の職種と関わることが多いと、連携を取る必要があるのでコミュニケーションスキルは必須になります。
病院の看護師さんは性格がきつい人もいるので、1年目理学療法士のうちは委縮してしまうこともあるかもしれません。
やはり人の数が多くなると、関係性が希薄なうえ、連携を必要とするので、業務が忙しかったり、多職種間の意見の相違があると、ギスギスしてしまいますね。
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勉強のために厳しい世界に飛び込むのもありですし、学びたい分野を優先して職場を選ぶのもありです。
だけど、それだと余程根気がないと続かないし、まず他に移る前提で働くことになる可能性も高くなります。
自分自身が成長できるかどうかや、その仕事を楽しんですることができるかどうかは「人」です。
逆に辞めたくなる理由のほとんどが「人」ですからね。
どの分野で働くかよりも、「誰と何をするか」の方がよっぽど大切です。
就職に失敗しないためにやるべき2つのこと
1年目のうちは、どの職域に勤めても勉強になります。
とはいえ、入職して後悔しないためにも、就職先はしっかり選びましょう。
就職に失敗しない方法としては、、
- 就職サポートを利用する
- いくつかの病院や施設へ見学に行く
この2点は絶対に欠かせません。
僕の知り合いでも、入職した職場が教える人が全然いなくて「このままでは不安」との思いから、早くも転職を考え始めていた人もいました。
僕自身も、1年目に勤めた病院は指導がきつくて、1年間ずっと実習生みたいなレポートをやらされていたので、4年は勤めましたが、長く勤めるまでには至りませんでした。
このように、最初に勤める職場は、一人で探すよりも、就職サポートを利用して専任就職アドバイザーに相談したほうが良い職場に就くことができます。
病院または施設見学へ行く
そして、ある程度就職先の候補が決まれば、必ず病院または施設見学に行きましょう。
実際に、どんな人が働いているのか、どんな雰囲気なのかは、肌で感じてみないとわかりません。
見学依頼に関しても、就職アドバイザーが応募先へ連絡してくれますのでお願いしてみると良いです。