以前、理学療法士の給料は安いの?高いの?一般企業と比べてみたという記事を投稿しました。
ここでは、お金の話を真面目にお伝えしています。
この記事は、理学療法士(または作業療法士や言語聴覚士)で給料を上げたい人だけが読んでください。
それ以外の「お金の話なんて聞きたくない」「お金を貰うために仕事しているわけじゃない」という人は、仕事への考え方が違いますので参考にならないでしょう。
理学療法士の給料は、決して高いわけではありません。
年収は404万円(厚生労働省の平成29年度賃金構造基本統計調査より)です。
初任給こそ理学療法士の給料は、一般企業よりも高く設定されています。とはいえ、平均月収23万円程度。
しかし、ボーナス(賞与)、昇給、退職金などすべてにおいて理学療法士のほうが低く、生涯年収をみても一般企業よりは安くなっています。
なぜ、理学療法士の給料は安いのか?その理由について解説します。
理学療法士の給料が上がりにくいなら、どうすれば良いのか?
多くの理学療法士は、給料を上げる方法を間違っている場合があります。それについても言及します。
最後に、給料を"簡単に"上げる方法を3つ教えます。
あなたができそうなことから試してみてください。
理学療法士の給料はなぜ安い?3つの理由
理学療法士の給料が安い理由には、
- 財源の問題
- 供給過多
- ビジネスモデル問題
が関係しています。
1.財源の問題「診療報酬の影響をもろに受ける」
理学療法士はどこから給料が発生しているのか、知っておきましょう。
患者は、病院に行けば割引価格で医療を受けられますよね。
例えば、
20分(1単位)の運動器リハビリを受けた場合。運動器リハビリテーション料Ⅰ(185点)を算定すると、病院は1850円の利益になります。
しかし、患者が負担する額は1~3割です。仮に3割負担とした場合、患者は555円負担し、残りの費用は皆さんが税金で支払ったお金で賄われるわけです。
国民医療費が年々増加しており、以下の表のように特に維持期における算定できる点数が減っているのがわかります。
延々としたリハビリはよくないということですね。
引用)https://www.pt-ot-st.net/contents3/43ygdsxfbhhb45/wp-content/uploads/2016/02/ten44.pdf
理学療法士の売り上げは、診療報酬の点数によって大きく左右されるということです。
我々理学療法士は、常に診療報酬の枠内でお仕事をして給料を貰う職業であることを忘れてはいけません。
2.供給過多「理学療法士が増えている」
年々高齢者が増えており、日本は4人に1人が高齢者の超高齢社会です。
じゃあ、理学療法士は需要のある職業で、給料も高いのでは?
と考える人も多いと思います。
前述したように、高齢者は割引価格にて医療を受けているのです。
よって、高齢者が増え割引価格で医療・介護のサービスを受けると、どんどん国の財源を圧迫することになっていきます。
そうなると、診療報酬を下げるかの施策が立てられます。
昔は、理学療法士は希少性の高い職業でした。
人手が足りないということは、そこにいるだけで価値が高いということです。お金を払ってでもいてほしいのです。
人手不足な時代では、理学療法士の給料は月収50万円なんてこともありました。今はそんなに給料は高くないですよね。
理学療法士あるあるですが、患者から「給料高いでしょ?」なんて聞かれて、苦笑いした経験はあるでしょう。
なぜ、理学療法士の給料は下がったのかというと、理学療法士の数が爆増しているからです。
理学療法士は、毎年1万人以上の合格者を出しています。作業療法士も5千人以上。
引用)https://www.pt-ot-st.net/index.php/topics/detail/565
年々増える理学療法士に対して、支払われる診療報酬の点数が減っている現状において、理学療法士一人一人に高い給料を支払うことはできません。
3.ビジネスモデルの問題「20分1単位いくら」
医師や看護師なら「この処置をすれば点数がつく」といった算定方法があります。
例えば、義肢装具採型法(200点)など。
このように専門技術を提供して算定していると、利益率を高めやすいです。
一方、理学療法士の売り上げは、1単位(20分)いくらのビジネスモデルです。
つまり、20分間サービスを提供しなければ、お金にならないのです。
理学療法士が、1日にみれる最大の単位数は24単位。
運動器リハビリテーションⅠの1単位(20分)では、1850円の利益です。
理学療法士が1日どれくらいの売り上げを出すかと言うと、1,850×24=44,400です。単純計算ですが、約4万円は1日に利益を出すのです。
理学療法士のように、時間を提供してお金に換えているビジネスモデルである以上、頭打ちが絶対にあるのです。
仮に診療報酬が下がり、1単位(20分)1,700円になれば、売り上げも下がりますよね。
こうなると我々の給料は下がる恐れはあっても、増える見込みはないわけです。
理学療法士にありがちな勘違い。それでは給料は増えません!
理学療法士は頑張り屋さんが多いです。
週末には勉強会に自腹で参加し、仕事が終わっても研究や自己研鑽に時間を費やしている人もいるでしょう。
理学療法士にありがちは、「それでは給料は増えない」という例を以下に挙げています。
勉強会に行っても、書籍を読み漁っても給料は増えません!
治療技術を磨くために勉強会に行っても、書籍を買い漁って家で勉強するだけでは給料は増えません。
経営やマネジメントの勉強であれば、話は別ですよ。
患者を良くすることと、給料が増えることは別問題であると考えてください。
あなたが経営のオーナーであれば、顧客満足度が増し、顧客の数が増えることで収入がアップするかもしれません。
ただし、雇われ理学療法士の場合、すでに月給が固定で決まっているのです。
固定の分、会社の売り上げが少なくても給料がむやみに下がるリスクはないでしょう。
逆に言えばどれだけ患者満足度が向上し、患者の数が増えてもあなたの給料にはほぼ影響を与えないということです。
認定資格を取得すれば給料が上がるわけではない
認定看護士であれば、処遇や昇給に影響する職場は増えています。
一方、専門理学療法士や認定理学療法士はというと、正直な話これらは給料に反映されないのが現状です。
というのも、専門や認定理学療法士の資格を持っていれば、算定される点数が上がるわけではないからです。
資格を持っていても、会社の売り上げには影響を与えない以上、その理学療法士の給料を増やす方向にはならないのです。
では、何のために専門や認定理学療法士を取るの?と疑問に思いますよね。
これらの資格は「個人のアピール」のために使うのが賢い使い道です。
例えば、副業としてセミナーを開いたり、本業以外の活動をする際に有効です。
研究や学会発表を沢山すれば給料が上がるわけではない
専門職として研究や学会発表に精を出し、本業が終わってからも熱心に活動する人もいますよね。
彼らの姿をみて「自分もそんな専門家になりたい、もしくはならなければ・・・」と熱くなる人もいるでしょう。
ですが、それらをどれだけしても給料は上がりません。
研究や学会発表しても、大学病院の教授を目指すなどハイレベルな活動をすることでようやく報われるといっても良いでしょう。
それなら、研究データと発表の実績を掲げてセミナー講師を開くのが良いでしょう。
どうせ頑張るなら、給料を上げたいと思いませんか?
理学療法士の多くは、給料を目的にこの業界に入ったわけではないことは重々承知しています。
でも、勉強会に行くにもお金がかかったり、家族を楽しませるお金の余裕がないのは何だか切なくなってきますよね。
給料の高い職業に就くことで、書籍を買ったり、勉強会に行く余裕が生まれるのです。
給料が上がれば生活は豊かになりますし、家族にも「頑張れば給料は増える」ということも見せることもできます。
どうせ頑張るならあなたの生活が豊かになり、周りの人たちが幸せになるよう、給料を増やすことも考えてみてはどうでしょう。
理学療法士の給料を"簡単に"上げる3つの方法
ここでは、理学療法士が給料を上げる簡単な方法を3つ紹介します。
それが以下の3つです。
- 本業で実績を残す
- 給料の高い職場へ転職する
- 副業をする
ちなみに、僕は転職と副業だけで年収を120万円アップさせましたので、信頼性のある方法だと思います。
1.本業で実績を残す
患者を良くすることと、給料はほとんど関係ないと言っても良いでしょう。
給料を決めているのは会社です。
会社への貢献度によって、あなたの給料が変わるのです。
つまり、アピールするべきは患者ではなく、あなたを評価する上司やもっと言えば経営者なのです。
20分1単位という縛りがあり、1人の理学療法士が出す売り上げは1年に800~1,000万円程度です。
理学療法士なんて場所はとらないし、道具もほぼいらないし、経費がほとんどかからない仕事です。
「800~1,000万円も利益があるなら、もうちょっと分けてくれても良いやん」って感じですよね。
労働分配率を見てみると、相場は0.4~0.6%。
つまり、800万の売り上げに対して、年収は320万~480万円の給料が支給されるのが妥当なのです。
繰り返しになりますが、あなたの給料を決めているのは会社です。
つまり、会社への貢献度が高く、信頼度の高い理学療法士になら給料を増やすことは可能なのです。
わかりやすく給料を上げるなら、インセンティブ(歩合制)を取り入れている職場に就くべきです。
訪問リハビリでは、インセンティブ(歩合制)をとっているところもあります。
例えば1ヶ月何件以上訪問すればプラスαになるなど、それによって年収500万円以上も可能です。
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また、主任や管理職になれば、月収やボーナス(賞与)アップも見込めます。
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僕の勤めている整形外科クリニックでも、専門分野の資格を取得すれば月収が5千円アップされます。
財団への登録や研修会への参加は医院負担です。
勉強もできて、会社のアピールポイントも作れてWin-Winの関係ですね。
つまり、会社の求める実績を残せば、給料が上がるのかを知っておいてください。
2.「転職」が簡単で効果的
まず、理学療法士が給料を上げようと思うなら、給料の高い職場に転職することです。
というのも、給料は職場によるからです。前述したように、給料決めているのは会社です。
良心的に給料を高めに設定している職場を探して転職するだけで、一気に給料が上がります。
僕が勤めていた回復期の病院でも、手取り17万円だったのですが、一方で同じ回復期なのに手取り26万円という職場もありました。
職場を変えるだけで、手取りの月収が9万円も変わるのです。全然違いますよね。
僕も転職してだけで、年収50万円すぐに上がりました。
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病院の規模が大きく、病棟以外にもデイケア、訪問リハビリなどたくさんのサービスを提供しているほうが利益率は高くなるので、一人一人の給料も上がる可能性があります。
初任給を低めに設定して、長く勤めた人がどんどん給料が上がるように設定している職場もあります。
例えば、公立病院や国公立の病院などいわゆる公務員に属する職場は、初任給は低くてもボーナス(賞与)、昇給が高く設定されています。
また、退職金もしっかり出る可能性もあるので、生涯年収で言えば民間病院よりは圧倒的に高くなります。
長く一つの場所で勤めたい人は、公立病院か国公立の病院がおすすめです。
また、役職に就いて給料を上げる方法もあります。
「患者診療だけでは、給料が上がる見込みがない」
「管理やマネジメントに興味がある」という人は、「役職・管理職」を募集している職場へ転職するのも良いと思います。
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PTOT人材バンクでは、役職者の応募もありますので、登録して求人を紹介してもらうと良いでしょう。
やりたいことをやって、さらに給料も上がるのですから、試してみる価値は大きいですよね。
3.「副業」で本業以外の収入源を増やそう
他には、セミナー講師や副業として収入を増やす方法もあります。
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まずは、自分が始めやすいものから始めてみることをおすすめします。
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