少子高齢化が進むなか、「病院から在宅へ」の流れが加速しています。
その中でも注目されているのが**看護小規模多機能型居宅介護(通称:カンタキ)**というサービス。
この記事では、理学療法士(PT)がカンタキでどのように活躍できるのか、仕事内容ややりがい、向いている人の特徴まで詳しく解説します。
目次
カンタキ(看護小規模多機能型居宅介護)とは?
カンタキは、「通い(デイ)」「訪問介護」「訪問看護」「泊まり」の4つのサービスを一体的に提供する在宅支援型の施設です。
特徴
- 365日・24時間体制の支援が可能
- 医療依存度が高い高齢者も対応可能
- 住み慣れた地域・自宅での生活を支える
高齢者の「できるだけ自宅で生活したい」という思いを叶えるため、介護と医療の両面からサポートするのがカンタキの最大の特徴です。
理学療法士の主な役割
カンタキでの理学療法士の業務は、訪問リハビリと施設内での機能訓練の両立が基本です。
1. 訪問リハビリ
- 利用者の自宅に訪問し、個別にリハビリを提供
- 福祉用具や住宅環境の評価・調整
- ADL(日常生活動作)の維持・向上を支援
- 介護者(家族)への動作指導も重要な役割
2. 通い・泊まりでの機能訓練
- デイ利用中のリハビリや体操指導
- 他職種と連携した生活リハビリの実施
- 「食事」「排泄」「入浴」など生活動作を支える工夫
3. 多職種との密な連携
- 看護師と医療情報の共有
- ケアマネージャーとの目標設定・モニタリング
- 介護職とリスク管理・ADLの把握を常に連携
通い利用者へのリハビリ内容とは?実践的な生活リハが中心
カンタキの「通い」サービスでは、利用者が日中に施設へ通い、看護や介護を受けながら過ごします。
理学療法士は、この時間を活用して、日常生活に直結した実践的なリハビリを提供します。
主なリハビリ内容
① 個別機能訓練(マンツーマンリハ)
利用者一人ひとりの身体機能や生活状況に合わせた、オーダーメイドの訓練を行います。
- 下肢筋力訓練(立ち上がり練習、スクワット)
- 歩行訓練(施設内・屋外、段差や階段)
- バランス訓練(ふらつき予防や転倒防止)
- 関節可動域訓練(拘縮予防・改善)
- 日常生活動作(ADL)訓練(トイレ、着替え、移乗など)
② 集団体操・グループリハ
複数名で一緒に行う体操や、認知症予防も兼ねた「楽しみながら動く」時間も設けられます。
- 椅子に座ってできる体操(下肢・体幹)
- タオル体操、棒体操、セラバンド体操
- 口腔体操や脳トレ要素を取り入れた体操
③ 福祉用具や動作環境の確認・指導
- 杖や歩行器の調整・歩行指導
- 車椅子のブレーキ位置や姿勢の確認
- 椅子・ベッドの高さ調整など安全対策のアドバイス
④ スタッフとの連携による生活支援
看護師・介護職と日々情報を共有しながら、リハビリが生活に活かされるようサポートします。
- 食事・入浴・排泄などの動作改善に関する提案
- 看護師と連携し、医療的視点も踏まえた訓練調整
- 家族への助言や、在宅でできる運動メニューの作成
通いでのリハビリは「安全に・継続的に・楽しく」がカギ
通いサービスのメリットは、安全に運動量を確保しやすい環境が整っていること。
また、他の利用者との交流が刺激となり、意欲や笑顔を引き出すリハビリが実現できます。
「ただ鍛える」のではなく、「生活の質を上げる」ことが目的のリハビリ——それが、カンタキにおける通い利用者への支援です。
理学療法士の1日の流れ(例)
時間帯 |
内容 |
8:30 |
出勤・朝礼(当日のスケジュール共有) |
9:00~12:00 |
訪問リハビリまたは通い利用者への個別リハ |
12:00~13:00 |
昼休憩 |
13:00~16:00 |
午後の訪問リハ or 通い・泊まりへの対応 |
16:00~17:30 |
記録作業・カンファレンス・退勤準備 |
カンタキで働くメリット
利用者の「生活」を支える実感がある
病院のような「治療」ではなく、生活に直結したリハビリを提供できるのが魅力です。
多職種連携が密で学びが多い
看護師、介護職、ケアマネなどと毎日連携し、チームとして支援する力が身につきます。
働き方が柔軟
「訪問」「通い」「泊まり」など、複数の関わり方ができるため、利用者の状況に応じた対応が可能です。
カンタキで働くうえでの注意点・デメリット
医療的ケアや制度理解が求められる
カンタキは医療依存度の高い方も多く、医療知識やリスク管理力が必要です。
移動が多くなる可能性も
訪問リハが中心の場合は社用車やバイクでの移動が発生します。慣れていない方は負担に感じるかもしれません。
人員体制が少ない職場もある
理学療法士が1人配置の施設もあり、責任が大きくなります。
カンタキに向いている理学療法士とは?
特徴 |
理由 |
在宅支援に興味がある |
利用者の生活そのものを支える仕事だから |
コミュニケーションが得意 |
多職種連携が毎日求められる |
柔軟な対応ができる |
訪問・通い・泊まりなど、状況に応じた支援が必要 |
医療・介護両方の視点を持ちたい |
医療と介護の“ハイブリッド現場”で活躍できる |
求人票を見るときのチェックポイント
- 訪問件数・移動手段(社用車 or 自家用車)
- 理学療法士の人数(1人職場かチーム体制か)
- オンコール対応の有無(基本は看護師対応)
- 給与・手当・リハ機材の有無
理学療法士がカンタキで働く理由|生活面・キャリア面の両立が叶う職場だから
カンタキは利用者にとって「暮らしの支え」となるだけでなく、働くスタッフにとっても「働きやすさ」や「将来への展望」が得られる職場です。
ここでは、理学療法士がカンタキで働くことで得られる生活面・キャリア面のメリットをご紹介します。
【生活面のメリット】無理のない働き方ができる環境
日勤中心・残業少なめでプライベートも充実
カンタキは24時間対応型の事業所ですが、理学療法士は基本的に日勤のみの勤務体制が一般的。
夜勤や当直がなく、生活リズムが安定しやすいのが大きな魅力です。
また、利用者の生活スタイルに合わせた計画的な支援が中心となるため、突発的な業務が少なく、残業も少なめです。
子育て中の方や、プライベートとの両立を重視する方にもぴったり。
地域密着で、通勤や転勤のストレスが少ない
カンタキは地域密着型の小規模施設がほとんどのため、自宅近くで働ける可能性が高いのもポイント。
病院のように異動や転勤がない職場も多く、地元で腰を据えて働きたい方にとって安心です。
利用者やご家族との温かい関わりが日々の活力に
「リハビリの成果がそのまま“生活の改善”につながる」ことが実感できる職場なので、感謝される機会も多く、やりがいを日々感じられる点も生活面での大きな魅力です。
【キャリア面のメリット】今後の働き方を広げる「地域リハ」の実力がつきます。
在宅リハ・生活期リハのスキルがしっかり身につく
病院勤務では得られにくい、生活動作・環境調整・福祉用具の活用・訪問での関わり方など、在宅分野に欠かせないスキルが実践的に学べます。
これにより、将来的に訪問リハや地域包括ケア分野へのキャリア展開もスムーズになります。
多職種連携・チームケアの経験が積める
看護師・介護職・ケアマネジャーと共に一人の利用者を支える中で、チームアプローチ力・コミュニケーション力が自然と鍛えられます。
この経験は、地域包括支援センターや管理職、教育職などへのキャリアアップにも役立ちます。
今後ニーズが高まる「在宅特化型PT」としての価値が上がる
高齢化と在宅医療の拡大により、病院だけでなく地域で活躍できる理学療法士の需要が急増中です。
カンタキでの経験は、今後さらに重宝されるスキルセットとして、自身の市場価値を高める武器になります。
プライベートも、将来も。カンタキで“自分らしい働き方”を見つけましょう。
「働きやすさ」も「専門性の成長」もあきらめたくない理学療法士へ
理学療法士が担う役割も、単なる機能訓練にとどまりません。
看護師や介護職と連携し、時にはご家族と話し合いながら、生活そのものをデザインする。
それは、医療職としての専門性に加えて、人としての温かさや気づき力も問われる、やりがいのある仕事です。
そんな理学療法士の方にとって、カンタキはまさに理想的な職場です。
- 「家族との時間を大切にしたい」
- 「今後も地域リハビリの分野で長く働きたい」
- 「在宅ケアに興味があるけど、何から始めたらいいかわからない」
通い・泊まり・訪問(看護+介護)を一体的に提供するカンタキでは、利用者の状態を総合的に把握し、その人らしい生活の実現に向けた“生活リハビリ”を提供することができます。
あなたのリハビリの力が、誰かの「もう一度歩きたい」を叶えるかもしれません。
地域の暮らしを支える仕事に、あなたも一歩、踏み出してみませんか?
まずは情報収集からでも構いません。
あなたに合ったカンタキの職場がきっと見つかります。