理学療法士が活躍できる場って、沢山ありますよね。
僕が若手の頃は、給料や休日日数のことは二の次で、「勉強できるところ」を優先して病院で働くことを決めました。
そんな僕も9年目になり、これまでに
- 2つの病院(主に回復期)
- 訪問リハビリ
- 整形外科クリニック(現在)
と経験してきてました。
整形外科クリニックでは、今までの職場よりも働きやすさとやりがいを感じています。
ここでは、「整形外科クリニック」の特徴や働くメリットを解説しています。
整形外科クリニックとは
整形外科クリニックとは、整形外科を専門とした診療所のことをいいます。
僕たち理学療法士は、医師からの指示のもと運動器リハビリが開始します。
疾患別リハビリテーションの点数一覧(平成30年)
保険点数は1点が10円。施設基準Ⅰでは運動器リハビリテーションⅠを算定し、1,850円を請求できます。
1点 = 1単位(20分)。20分のリハビリを実施すれば1,850円の売り上げになるということです。
患者さんの負担額は、医療保険では3割の負担になりますので555円となります。診察や物療がある日は、数百~千円がプラス料金として請求されます。
尚、月1回算定している「リハビリテーション総合実施計画書」を請求する日は、3,000円がプラスされますので、「この日だけなぜか高いな~」と感じる患者さんもいるかもしれません。
外来リハビリは、どのくらいの頻度でするものなの?
また、疾患別リハビリテーションの日数を超えた場合は、月に13単位までとなります。
例えば、1単位(20分)を週2回とすると、13単位を超えることはありませんよね。
ただし、週3回にしている場合、5週ある月では13単位を超える可能性が出てきますので、気をつけて見ていなければいけません。
整形外科クリニックで多い「疾患」
どんな疾患の患者さんが多いかはクリニックの特性によると思います。
例えば、僕の勤めるクリニックでは、
- 肩関節周囲炎
- 変形性関節症(腰、股、膝、足)
- ヘルニア(頚、腰)
- 脊柱管狭窄症(頚、腰)
- 骨折術後
が大半を占めています。
整形外科クリニックで多い「症状」
クリニックに来られる方で最も多い症状が「痛み」です。
外来では自力、または家族の迎え、タクシーなどを利用して通院されます。
ですので、日常生活動作に大きな支障をきたしているというよりも、
「痛みを何とかしてほしい」
「痛みのために可動域制限がある、日常生活動作がしづらい」
という方が多いです。
療法士が週に数回のリハビリで何ができるかを考える
療法士は、週に1、2回、多くて3回のリハビリの中で何ができるかを考えなければいけません。
即時的に痛みが取れそうなら治療を実施します。安静が良いと判断するならポジショニングや生活指導を行います。
例えば、「痛み」が主訴の場合・・・
なぜそこが痛いのか、どうすれば改善方向へ進んでいくのかを説明できる考察力も問われます。
外来リハの場合は、病院のリハビリに比べて、機能面へのアプローチが主になります。
技術面のスキルアップは当然必要ですが、
- 何が原因で痛みが出ているのか?
- 何をすれば痛みは軽減してくるのか?
- どのくらいの期間で痛みが軽減するのか?
など、「病態を説明できること」が外来リハでは信用される要素であるといえます。
療法士の1日の流れ
クリニックでは、このようなサイクルで動きます。
8:50~ | 朝礼 |
9:00 ~ 12:00 | 患者診療 |
12:00 ~ | 昼休憩 |
14(15):00~18(19):00 | 患者診療 |
午前中の診察が長引くことも考慮して、休憩時間を長くとっているクリニックがほとんどです。
午後は仕事終わりに来院される方を考慮して、18時や19時まで診療しているところもあります。
ちなみに、僕のクリニックの休憩は12時~14時までです。午後は17時には終了します。
外来リハビリでは、20分間のリハビリを提供することがほとんどです。ですので、1日あたりの患者数は16人前後でしょうか。
外来リハビリ20分のために来院される患者さんが多いので、慢性的な腰痛や肩痛などある方には、必要に応じてホットパックやマイクロ波などを行います。(もちろん主治医と相談し、物療実施の許可を得る必要があります)
整形外科クリニックの給料ってどうなの?
病院と比べると、クリニックは給料は比較的高い傾向にありますが、職場によっても違いはあります。
僕のこれまでの給料を参考にしていただくと、
1~4年目 | 回復期・療養病院 | 450万 |
5年目~8年目 | 回復期病院 | 380万 |
9年目(2ヶ月間) | 訪問リハビリ(非常勤) | 40分3,000円(60分4,000円) |
9年目~現在 | 整形外科クリニック | 430万 |
新人時代に入った回復期病院が新卒にしては良い方でしたが、残業代も昇給もなく、しかも業務がきつかったので辞めてしまいました。
求人などを見ていると、訪問リハビリは単価が高く、インセンティブ(歩合制)を導入しているところでは給料が高くなります。
「整形外科クリニック」で働く10つのメリット
僕が思う病院勤務や訪問リハビリでは感じなかった「整形外科クリニックで働くメリット」をご紹介します。
- 転倒リスクが圧倒的に少ない
- 機能面の知識が豊富になる
- 連携という複雑なコミュニケーションがほぼない
- 昼休憩はしっかりとれる
- 係や委員会がほぼない
- 書類業務が少ない
- トイレ介助がない
- リハ拒否とは無縁
- ほとんど移動しないので疲れない
- 靴・靴下の色・形の指定がほぼない
メリット1.転倒リスクが圧倒的に少ない
外来リハビリでは、病院や訪問リハビリのように横にベッタリついて歩行介助をするようなことは全くと言っていいほどありません。
歩ける方が大半ですので、転倒させてしまうようなリスクは少ないです。
メリット2.機能面の知識が豊富になる
もちろん、全く勉強しなければ知識が豊富になることはありません。
外来リハビリでは、能力低下で来院されるよりも、「痛み」「関節の制限」などを主訴に来院されることが多いです。しかもそのような主訴を訴える方々1日に何人も担当しますので、経験値は圧倒的に増えます。
症例を数を多く診て、勉強してまた患者さんと接するうちにどんどん知識が身についていきます。
メリット3.連携という複雑なコミュニケーションがほぼない
病院では医師や看護師、ソーシャルワーカーなどと密に連携しカンファレンスを重ね、患者さんをチームでマネジメントしていくために必ず多職種連携が必要になります。
ときに意見の食い違いや情報伝達不足などで困ることもあり、そうならないためのコミュニケーションスキルが重要になってきます。
訪問リハビリも同様に、ケアマネジャーとの定期的な情報共有が必要になります。
一方、クリニックでは医師からの指示 → 運動器リハの流れになりますので、そのような複雑な連携はほとんどありません。多職種間の情報共有が全くないわけではありませんが、病院や訪問リハビリなどと比べると圧倒的に少ないです。
メリット4.昼休憩はしっかりとれる
昼休憩が2時間くらいありますので、昼はゆっくりできるのが大きな特徴です。ガッツリと昼寝している人もいれば、一旦家に帰っている人もいます。(僕は一旦家に帰っています)
病院では、休憩60分で昼休憩にカルテ入力や他の職種との情報共有をすることもあり、まともに休憩をとれないことがあります。
メリット5.係や委員会がほぼない
僕の働くクリニックでは係や委員会はありません。これはクリニックの規模によると思います。
病院など大きい規模で人数も多い職場では、業務を効率化させるために係や委員会が設けられることは多いです。ただ、これが結構大変なんですよね。
患者さんを診る以外の時間に係の集まりや委員会があるので、どうしても忙しく日は業務時間外に時間を作ることがあります。
メリット6.書類業務が少ない
病院やクリニックでも「リハビリテーション総合実施計画書」を作成しますので、月末はやや忙しくなるのですが、それはどこも同じです。特に訪問リハビリでは、月末のケアマネジャー・利用者への「報告書」「計画書」が沢山あるのは聞いたことがあると思います。本当に多いです。
それよりも上司が書類の添削にうるさい職場では、月末は忙しくなるといった感じでしょうか。
外来リハでは係や委員会がほぼない分、カルテや月末の業務以外に書類作成をすることが滅多にないのです。
メリット7.トイレ介助がない
病院や訪問リハビリ時代は、トイレ介助をすることももちろんありましが、外来リハビリに転職してから一回もトイレ介助をしていません。
これをメリットと言っていいのかわかりませんが、「トイレ介助がどうしても苦手で・・・」という方は外来リハビリが合ってると思います。
メリット8.リハ拒否とは無縁
病院勤務の方は絶対悩んだことがある「リハ拒否」。
脳卒中で高次脳機能障害、高齢で認知症を呈している患者さんはリハビリの目的が理解できず、リハビリに誘ってものってこない方は多くいます。
僕は、基本的にリハ拒否があったとしても、どんな患者さんでも対応できる理学療法士がプロだと思っています。
病院のリハビリでは患者さんを慰めたり、褒めたり、傾聴したり、いろんな関わり方を模索してリハビリに参加してもらいますよね。これはある種やりがいを感じる要素でもあるのですが、こちらが疲れてしまうこともありますよね。
一方、外来リハビリではリハ拒否とは無縁です。患者さん自身で来院されますので、「痛みを軽減させたい」など必ず目的があるんです。
ですので、必ずしも目的が明確でないこともある病院のリハビリよりかは、外来リハビリでは明確に目的があるので、やりようはかなりあります。
メリット9.ほとんど移動しないので疲れない
病院勤務時代は、結構体力を消耗していました。
病院では、スタッフが昇り下りするときは「エレベーターは使わない」のが原則です。患者・家族様が優先してエレベーターをご利用していただくためです。
また、片麻痺など身体が不自由な方に下肢装具を装着して、ほぼ全介助で歩行介助をすることもあります。患者さんと一緒に屋外歩行訓練をすることもあります。療法士も体力を消耗します。
また、訪問リハビリでも利用者間の移動がありますので、特に自転者移動の人は疲れますよね。
これらが重なり休日前になると、かなり疲労してくるんですよね。
外来リハビリは、ベッドからほぼ動きません。患者さんが時間になったら順番にベッドに近づいてきてくれますので、療法士は動くことをしません。
ほぼ体力を使わないんですよね。
メリット10.靴・靴下の色・形の指定がほぼない
特に病院では、靴下は「白」。靴は「白で踵が覆われているもの」、「ナースシューズはダメ」など指定があると思います。
訪問リハビリも特に指定はないでしょうが、外来リハビリも指定はほぼありません。
仕事用の靴って頻回に買い替えると思いますが、指定されていると買う時困るんですよね。
「整形外科クリニック」で働くデメリット
どの現場でもメリットがあれば、デメリッもあると思いますので「整形外科クリニックで働くデメリット」も紹介しておきます。
- 気軽に休みが取りにくい
- 患者を個人で診ることがほとんど
デメリット1.気軽に長期休みが取りにくい
僕が回復期の病院に勤めていた時は、6連休とか普通にとってました。回復期は365日毎日リハビリがあるので、必ず代行性を取っています。
すでに代行システムが整っているため、代行をお願いしておけば長期休暇も可能なのです。海外旅行も気軽にいけるんですよね。
一方、外来リハビリはいつでも気軽に休めるわけではありません。
予約性を取っているクリニックでは、予め有給をとって休日と繋げることで連休をとれることもありますが、せいぜい3連休とかでしょうか。
ただ、夏季休暇や年末年始、ゴールデンウィークの長期休暇はあります。
ちなみに、僕のクリニックでは今年の夏季休暇は9連休です。回復期よりは気軽に連休は取れませんが、指定された休暇があるのでそこで楽しむこともできますね。
デメリット2.患者を個人で診ることがほとんど
病院では、理学療法士だけでなく、作業療法士や言語聴覚士も同じ患者を診るので、相談しやすい環境にあります。また、多職種連携や担当者会議も設けられているため、チームで相談しやすいのは病院の大きな特徴です。
また、回復期では代行性があるので、先輩にも診てもらいアドバイスをもらうことができるので、不安は解消されやすいです。
そういった意味では、外来リハビリは個人戦になるので、相談できる環境が整っていない場合もあります。
整形外科クリニックは働きやすいしおすすめ!
僕はこれまで4つの職場で経験しました。その中でも今の整形外科クリニックは働きやすくて、沢山の患者さんを日々診ることができる外来リハは勉強になるし、やりがいも感じてます。
夏季は長期休暇もありますし、給料も良いので大満足してます。
僕も自分に合った職場を探すのに苦労しました。
どうせだったら、「給料も良くて、休みも多く、働く人たちも優しい」ってのが理想中の理想ですよね。
人によっては、優先する部分は違うと思います。
- 忙しくても給料が良い
- 給料はそこそこでも休みが多い
- ある分野を勉強できる
- 福利厚生が充実している
- 忙しくない
など。
あなたが譲れない部分をピックアップし、それを基準に職場を選択すると良いと思います。
職場選びはとにかく情報収集が大事です。
細かい給料や休みのことなどは転職サイトのエージェントが詳しいので、活用してみてください。
転職するなら転職サイトを使ったほうが良い▼
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