理学療法士として働いていると、「自分の職場って、ブラック企業じゃない?」
そう感じる人もいますよね。
例えば、残業代が出ないのに夜遅くまで居残って仕事をさせられている。有給休暇が取れない。勉強会強制参加。などなど。
「労働基準法違反じゃない?」なんて思うときもありますよね。
僕の以前勤めていた病院でも、サービス残業は当たり前でしたし、どう考えても業務内に終わるような仕事量ではありませんでした。
僕も周りでも「有給が取れない、休めない」なんて人もいました。
僕は転職を3回、4つの職場を見てきて、「これっておかしくない?」というのは、何となくわかるようになってきました。
今の職場だけしか経験してこなかった人には、「これってブラック企業じゃない?」ということはなかなか気づきにくいと思います。
ですので、この記事では理学療法士の働く職場がブラック企業になる理由、そしてブラック企業の特徴と2つの対策についてもお伝えします。
もし、この記事を読んでいる人で「自分の職場っておかしくない?」「ブラック企業じゃない?」と気になる人は、今すぐにでも対策してください。
理学療法士の職場がブラック企業になる理由
理学療法士が働く職場がブラック企業になる理由には、3つ考えられます。
それをまずは見てみましょう。
ブラック企業になる理由①.理学療法士の教育に問題あり
まず理学療法士の実習がブラックな点が挙げられます。
実習を終えた人や聞いたことがある人は、理学療法士の実習がブラックであるのは知ってますよね?もちろんブラックでない実習もありますが。
例えば、実習時間外の課題や自宅学習の量が尋常じゃないくらいに多いことが挙げられます。
実習中の週の平均時間が3時間なんて人もかなり多いです。人によっては、1日1時間くらいしか寝れなかったといのもよく聞きます。
時間外に学習するのは当たり前のような教育がずっと続けられており、そういった価値観を持った人たちから教育を受け、そして働き始めるのでブラック企業化していくのです。
もちろん自宅学習は必要な職業ではありますが、限度がありますよね。これが当たり前になると、サービス残業すらも疑わなくなるので恐ろしいですよね。
ブラック企業になる理由③.指導といういじめが横行している
理学療法士の実習や若手指導で、結構きつく指導する人っていますよね。
指導される人のミスや不手際、知識不足を教育するのはもちろん大事です。
しかし、そこから飛躍した人格否定やいじめのような行為をする指導者も存在します。
厄介なのは、指導している人はいじめではなく指導だと思っているところです。本人がどれだけ辛くなっていても、「指導」という都合の良い言葉で正当化してしまうのです。
もちろんちゃんと指導している人もたくさんいますし、いじめなんてしない人もたくさんいます。
ですが、一部では指導といういじめが横行している職場もあります。こういった職場に勤めてしまうと、精神的に病んでしまうかもしれません。
ブラック企業になる理由②.やりがい搾取
やりがい搾取とは、お金を与える代わりに「この仕事はやりがいがある」と強く思わせることを言います。
患者の身体が良くなったり、できなかったことができるようになるのを目の当たりにするのは、やりがいを感じる瞬間でもあります。
ただし、「やりがい搾取」はブラック企業の特徴でもあります。
理学療法士は「この仕事はお金のためではない」「患者のために尽くす」などという教育と言いますか、ある種の洗脳を受けて教えられてきました。
もちろん、患者のために尽くすのは専門家としては当たり前のことであり、責任の重い仕事ですので、一生懸命に頑張るべきです。
とはいえ、本来なら労働に対する報酬(賃金)を与えるように、就業規則や雇用契約書があるのです。
業務時間外に夜遅くまで研究を強要される、技術練習をさせられる、患者のために考えろとしつこく言われて仕事以外の時間も仕事のことを考えさせるよう強要するのは、やりがい搾取の典型例です。
理学療法士の職場でブラック企業の特徴
ここからは、理学療法士がブラック企業の特徴を見分ける方法についてご紹介します。
ブラック企業の特徴①.サービス残業が当たり前
サービス残業が当たりまえの職場も数多くあります。
そもそも、業務外に仕事量が残ってしまうほどの負荷を課せていること自体が問題ではありますがブラックなのですがね。
法律では、業務時間外に仕事をした場合には、賃金を割り増しで支払う義務が定められています。
例えば、以下のように定められています。
残業代は、職場の就業規則や雇用契約書にも記載されているはずですので、ご確認ください。
「そもそも就業規則も雇用契約書も貰ってないよ」という人は、その時点でブラック企業を疑って良いでしょう。
ただし、自主的に居残りしている場合には残業代は出ないことになっています。
例えば、勉強会、症例発表など。ほとんどの場合は、これは強制参加ではありませんので、参加したとして残業代が出なくても文句は言えません。
だだ強制させられるのであれば、それは業務内に行うべきなのです。
ブラック企業の特徴②.そもそも業務時間内に終わらない仕事量
僕の以前の職場がまさにこれだったのですが、業務内に終わらない仕事量を課せられているのもブラック企業の特徴です。
具体的には、1日のノルマが18単位以上であり、その他の委員会や係の仕事があった場合には、どうしても業務時間外に持ち越してしまいます。
特に21単位診る日には、残業は確実です。
しかも、残業代が出ないのでサービス残業になってしまいます。
ただそのようなサービス残業は規制が厳しくなるので、業務終了後にタイムカードを押してそこから残業をするということをやっていました。
定時で帰ることが本来普通であるはずなのに、残業せずに帰ると上司に何かと呼び止められることもありました。
よく考えると相当ブラックですよね。
ブラック企業の特徴③.ボーナスカット
なぜボーナスがあるかを考えると、労いの気持ちと言い方は悪いですが辞める人を止める効果もあるからです。
ちなみに法律では、職場からボーナス(賞与)を当たる義務はありません。
なので、ボーナスがカットされること自体は問題ではないのです。
就業規則や雇用契約書にボーナスを与える条件などが記載されているにも関わらず、ボーナスを与えないのは問題です。
もちろん正当な理由があってボーナスカットをする場合もあります。例えば、業績が振るわないなど。
それ以外に正当な理由もなく、ボーナスをカットされているのなら、それは法律を利用して搾取しています。
ブラック企業の特徴④.有給が使えない
有給休暇は、6ヶ月以上勤務してかつ8割以上を出勤していれば付与されるものです。
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。労働基準法第三十九条
ほとんど職場で、半年または1年勤めれば10日ないし11日の有給休暇を取得することができます。
これらを踏まえて、そもそも有給を使って休むことは労働者の権利なのです。
2019年4月から、「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が義務付けられました。ですが、繰り返しになりますが有給休暇は権利ですからね。
有給を気軽に使えない職場は、はっきり言ってブラックです。
ブラック企業の特徴⑤.指導・教育というより、ただのいじめ
理学療法士の実習もいじめに近い指導・教育が横行していますが、働き出しても過度な人格否定や無理を強要する行為はいじめ、もしくはパワハラ行為をしている人が一定数います。
どんな人と一緒に働くかは、働き出してみないとわからない点が非常に厄介ですが、そういういじめ・パワハラが横行している職場かを見極めるには、働いている人に直接聞くか、転職エージェントを活用することをおすすめします。
パワハラ問題の対策については、こちらの記事▼で詳しく解説しています。よければ参考にしてください。
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理学療法士のパワハラ問題について。自分の身を守る具体的な2つの対策
理学療法士は、実習が過酷なことで有名な業界です。 理学療法士療法士を志している学生や、もう理学療法士の資格を取った人なら「理学療法士の実習はきつい」ってイメージを持っているものだと思います。 &nbs ...
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ブラック企業の特徴⑥.簡単に辞められない
職場を簡単に辞められないというのは、確実にブラックです。
まず、法律では2週間前までに退職の旨を表明すれば問題ないとされています。退職表明の証拠が必要であるなら、辞表を提出しておいた方が無難ですが、基本的には口頭で「○○頃に退職します」で問題ありません。
以前に、「1年前までに退職の旨を伝えないと辞めらない←そんな訳ないです。」という記事を書きましたので、気になる人は目を通してください。
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【理学療法士の転職・退職】1年前に申し出ないと辞められないんです←そんな訳ないです。
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理学療法士がブラック企業を回避する2つの対策
ブラック企業を回避する方法には、この2つが挙げられます。
- 現職のシステムを変える
- 転職する
ブラック企業を回避する方法①.現職のシステムを変える
労働者は法律で守らられていますので、ルール内でやることはやりつつ後は手を抜くという方法もあるのですが、あまりおすすめしません。
なぜなら、他の人が一生懸命やってる中で、自分だけやらないと周りの目も厳しくなるからです。
しかも、自分がミスをしたときもフォローしてくれる人がいなかったり、余計に立場が厳しくなることもあります。
職場のルールの元皆んな仕事をしていますので、社会人としての秩序は守ることも求められます。でなければ、自分勝手な人と判断されて確実に仲間外れにされてしまいます。
今の職場を変えるには、上司や上層部に訴えかけるという方法もあります。これは実現可能な場合もあるので、試してみる価値はあります。
もしくは、自分の立場を役職まで上げて、職場を変えることもできるでしょう。ただ、時間や労力はかかりますが。
ブラック企業を回避する方法②.転職する
もう一方の方法は、転職することです。
つまり、今の職場を諦めて他の環境に移るのです。こちらに関しては、かなりハードルは低いです。
僕もどちらかと言えば、ブラックな環境から逃れるように転職をしてきました。
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【転職成功談】理学療法士の僕が転職して給料・時間・人間関係が改善された話
理学療法士のかずぼーです。 僕は、9年のキャリアの中で転職を3回しています。 転職した理由は、「給料を上げたい」「時間が欲しい」「人間関係の良い職場に移りたい」など、さまざまでした。 現 ...
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今の職場があからさまにブラック企業で、特に将来性も感じないのなら、もうこの時点で転職の準備を始めたほうが良いです。
職場を変える努力も大事なのですが、時間と労力が必要ですよね。下手すれば何年もずっと搾取され続ける可能性もあります。
残業代も出ずに残業を続けるくらいなら、家に帰って副業でもしたほうが給料は増えると思います。
別にお金に困ってなくても、家族との時間を楽しんだり、自分の知識を深めるために勉強に時間を費やしたり、そのほうが遥かに将来のためになりますよね。
転職する際に、「自分が抜けた穴はどうすれば良いの?」
「他に良い職場は見つかるの?」
そんな心配をする人もいるでしょう。
自分が抜けたくらいで、仕事が回らなくなる職場自体、そもそもおかしいのです。
会社は仕事が回るように仕組化されているべきです。体調不良で急に休むこともありますし、長期休暇もあり得ますし、それで仕事が回らないのは、あなたのせいではなく会社の責任です。
なので、円満退職だけを考えて転職の準備を始めれば良いのです。
また、これは転職を3回経験してみた僕が言えることですが、理学療法士は資格を持っている以上転職のしやすい職業です。
もちろん転職したことで、「給料が減った」「休日が減った」「また同じようにきつい目に遭った」など不安要素はあると思います。
転職に不安を持っている人は、転職サイトへ登録して、エージェントに紹介してもらうと良いです。
転職サイトを利用することで、給料や休日の詳細、上司の人柄や職場の環境、残業の有無など、細かい情報を入手することができます。
この辺りの、詳細な情報は非公開になっていることが多く、転職サイトへ登録することで知ることができます。